人材派遣の依頼書とは?

「人材派遣の依頼書」という書類をご存知でしょうか?

ネットには派遣を利用する際に「この書類が必要」という紹介されていたり、当社でもたま~に、「依頼書の提出が必要でしょうか?」との質問をお客様からいただくこともあります。

そこで今回のコラムでは、

「人材派遣の依頼書とは?」と題し、

この書類について細かく解説。

人材派遣の依頼書は、それを「=注文書」とするか「=要件定義書」とするかで、役割が大きく異なってきます。それぞれの解釈における役割についてお話をしていきたいと思います。

【前提】
派遣会社としての立場から申し上げれば、法的な面はもちろん、慣習的なレベルで見ても、人材派遣の依頼時にあらたまった「依頼書」は必要ありません。

上記を前提とした上で、コラムを読み進めてください。

1.派遣の依頼書=注文書と解釈する場合

(1)互いの意思確認が目的

一般に、注文書とは、自社が求める商品の概要を購入の意思と共に業者に伝え、業者は注文書の受け取りを持って受注(=販売)の意思を示すという役割を果たす書類です。

上記を人材派遣に置き換えますと、

派遣の依頼書=注文書の場合

【御社】

・こんな内容で人材派遣を頼みたいのですが引き受けてくれますか?

・こんな内容で派遣を利用したいのですが、人はいますか?

【派遣会社】

・大丈夫です。お引き受けします。

といったやり取りを注文書で確認しているという事になります。

(2)それって必要なの?

「そんなの、電話で聞けば済むのでは?という声が聞こえてきそうですが、まったくその通り。

しかし、企業様によっては取引を明確な形に残しておくという考えの元、業者とのやり取りは「注文書ベースで行うべき」というルールが敷かれているところもあります。

このような場合には、注文書の役割を果たす人材派遣の依頼書が役立ちます。

フォーマットの指定は特にはありませんので、平素利用している注文書をそのまま流用しても問題はありません。情報の過不足は当然あると思いますが、それは注文後に別の形で確認していけばよいだけのことです。

2.派遣の依頼書=要件定義書として解釈する場合

(1)希望・要望の確認が目的

要件定義書とは主にシステム開発等で使用される用語です。
この書類には、開発するシステムに対する希望や要望の詳細が記載された書類であり、お客様と業者間の情報共有と齟齬(ズレ)の防止確認の為に作成される書類です。

人材派遣に置き換えますと、

派遣の依頼書=要件定義書の場合

・どんな仕事をどこまで、

・どんなスキルを持った人に、

・何日間、何時から何時まで、

・どのくらいの期間で、

といった、人材の派遣に必要となる様々な希望・条件等の情報が記された書類といってよいでしょう。

派遣の依頼書を「注文書」として解釈した時と比べ、記載内容に具体性があるため、これこそが派遣の依頼書と言える書類であると考えます。派遣の依頼書という言葉でお客様が思い描くのはこちらの書類かと思われます。

(2)派遣概査と一緒に作ればOK

お客様から詳細の依頼内容と条件が記された「要件定義書チックな依頼書をご提出頂ければ、派遣会社として大変助かります。

しかし人材派遣はそのサービスの性質から、かなり細かい確認が必要となる他、派遣会社独自のルールや確認ポイントもあることから、お客様目線だけではどうしても情報が不足するのが現実です。また初めて派遣を利用するお客様の場合、「どこまで何を伝えればよいのかわからない」ということもあると思われます。

ここは派遣会社の聞き取りに任せてOKです。
依頼時にお話をスムーズに進めるために、ご希望や条件等を事前に決めておいていただけると助かりますが、「要件定義書チックな依頼書」をお客様が作る必要はありません。派遣会社からの聞き取りを含めて、自社と派遣会社で一緒に作るものだと解釈して問題ありません。

(3)準備をしておきたい企業様へ

派遣会社の聞き取りを前に、社内で条件を固めておきたいという企業様からは、「スムーズな依頼ができるよう、準備すべき情報を依頼書という形で抑えておきたい」とリクエストをいただくことがあります。

ネットでも「要件定義レベル」での派遣の依頼書のフォーマットは見かけませんし、当社での用意も正直ありません。※存在はするのですが、かなりの量になるためお渡しはしていません。

そこで派遣依頼の準備のために役立つコンテンツを以下にご紹介します。
以下を参考に、フォーマットに捕らわれず、派遣依頼の準備を行っていただければと存じます。

以上となります。

繰り返しになりますが、人材派遣の依頼書は、発注の際にマストとなるものではありません。

しかし、お客様の会社のルールにおいて「注文書的な役割」で必要となる場合がある他、要件定義書としての役割を果たす場合には、派遣依頼の必要十分な「準備ツール」として役立てることができます。

残念ながら利用に足るフォーマットをネットで見つけることはできず、自作が要求されますが、派遣の利用が頻繁な企業様は、自作で一つご用意されても良いかもしれません。

ABOUTこの記事をかいた人

1974年7月3日生まれ、中央大学文学部英米文学科卒。千葉県内でパート専門の人材派遣を展開するワークパワー株式会社の営業兼、代表取締役。一児(娘)の父。趣味は旧車バイク乗り・いじり、ドラム、食べ歩き。