派遣利用前に社内に周知しておきたいこと

人材派遣の利用前に、社内への周知は当然行っていると思いますが派遣スタッフの安定稼働と、十分な費用対効果を得るために重要なのはその対象と内容です。

今回のコラムでは、直接雇用の社員、契約社員、パート・アルバイトとは条件が大きく異なる派遣社員を迎え入れる際に、社内に周知すべきポイントをご紹介いたします。

≪大前提:社内に広く周知する≫

派遣の利用は関係者だけ、所属部署だけにとどめず、可能な限り社内に広く周知するのがベスト。

派遣の利用を「知らなかった」、「聞いていなかった」という事が原因となり、

・派遣スタッフの扱いが雑になり退職となる

・条件を巡り社内でいさかいになる

上記の様な問題が発生します。

これは決して大げさではなく、事実起こり得る、いえ、発生した事実です。

特に人材派遣の利用が初めての企業様の場合、「派遣慣れ」していないが故に派遣スタッフの存在が先入観から語られ、問題が発生しやすくなります。

派遣導入の大前提として、利用の周知は可能な限り社内に広く行う事をおススメいたします。

尚、たまに「社内で内緒できますか?」という相談を受けるのですが、どんな隠しても漏れます、バレます。

100%不可能であると申し上げておきます。

1.派遣を利用する理由

さて、コラムはここからが本番。

派遣利用の際に社内に周知すべき内容ついて解説します。

まずは、「何故派遣を利用するのか?」という理由・目的から。

派遣の利用は「人がいない・採れない」という理由がほとんどで、わざわざそんなことを説明する必要はないのでは?

と思われそうですが、さにあらず。

既存の従業員にとって、条件が異なる派遣スタッフが自社にくるということは、

会社が思うより気持ちがざわつくものです。

要らぬ心配やあらぬ偏見を防ぐためにも、派遣の利用の理由を会社から従業員の皆様に説明するというフェーズが重要なのです。

ただ単に派遣スタッフが来るという事実だけをポーンと放るのと、現在会社が採用においてどのような状況にあって、何を目的に人材派遣を利用するのかを説明するのかでは、伝わる情報はもちろんですが、聞き手の印象もかなり違ってくるはずです。

派遣スタッフの活躍と安定稼働にためにも、

また、既存スタッフさんの安心と納得の醸成のためにも、

「何の為に派遣スタッフに来てもらうのか?」

という理由と目的を周知する機会を設けることを念頭におきましょう。

美味い説明は不要ですし、100%の理解を得られなくてもOKです。

繰り返しますが、大切なことは、

従業員の皆様への説明フェーズを設けるという点。

説明を行う事自体が重要なのだとお考えください。

2.所属部署、担当業務について

平たく言えば「派遣スタッフがどこ(部署)で何(の仕事)をするのか?」

ということです。

派遣利用の目的の説明の流れでこの説明はできると考えますが、

より具体的に、「どこで何をするのか?」と周知するよう心がけましょう。

これはどちらかと言えば、派遣スタッフさんへの配慮が目的です。

皆が自分の役割を知っているという事は、自己の存在が社内で認知・承認されているというわけで、勤務間もない派遣スタッフさんにとってこれほど安心できることはありません。

社内に「どこで何をやっているのかわからない人がいる」という不自然な状態は、

転職してきた社員さんの場合は少なくても、派遣スタッフの場合には、残念ながらよく見かけます。

原因は周知徹底の甘さです。

事前の伝達はもちろんですが、着任時に挨拶や紹介の機会を設けるなどして、周知を促していきましょう。

3.勤務シフトについて

週何日、何曜日、何時から何時まで・・・

いわゆるシフトと言われる派遣スタッフの在社条件です。

派遣先の皆様がこれを把握することで

無理・無駄のない適切な仕事の割り振り

が可能となります。

無駄を省いた効率的な派遣の利用はもちろんですが、派遣スタッフの力量を正確に見定めていくことにもつながるため、新たな仕事を任せるなど、より適材適所の配置が可能となります。

また派遣スタッフにとっても、勤務先に自分の勤務シフトが周知されていることは大変大きな安心材料です。

育児中・介護中など特殊な事情がある派遣スタッフにとって、自らのシフトを把握・理解した上での業務の指示があることなどを想像すれば、その安心の程はご理解頂けると思います。

重要なことは、責任者だけがシフト知っているのではなく、現場の皆様が知っていることです。責任者が不在がちの現場ではなおさらです。

≪派遣料金は周知しなくてよい:派遣料金≫

「派遣料金」については敢えて周知する必要はありません。

派遣料金は、派遣スタッフの給与にも関係するデリケートな話題ですので、

不特定多数の間で話題にするべきではありません。

また派遣料金は何故か、

「派遣料金=派遣スタッフの時給」

と勘違いされる傾向にあります。

※派遣料金が「2,000円/時」=「時給2,000円」というように。

説明は不要かと思いますが、派遣料金には派遣スタッフの時給に加え、派遣会社の利益で構成されており、全てが派遣スタッフの取り分ではありません。

しかし何故か勘違いされやすいのです。

但し知識がなければ、誤解や憶測を生みますので、正当な説明理由がある場合を除き、あえて派遣料金を社内で周知する必要はありません。

一方で、上記の誤解が社内に蔓延しているようであれば、急ぎしっかりとした説明が必要であることは言うまでもありません。

 

以上、今回は、

派遣社員を迎え入れる際に、社内に周知すべきポイントについてお話させていただきました。

私が言いたいことは、

「杓子定規にルールを守れ」というこではなく、

単に、

「新しい人材を自社に受入れるのに必要な事をしましょう」

ということです。

派遣のルールは確かに複雑でややこしいものも多いのですが、上手に使うための方法は、

「自社の社員と同様に大切にする」という事に尽きます。

本コラムを派遣活用の一助としてご参考にして頂けると幸甚です。

ABOUTこの記事をかいた人

1974年7月3日生まれ、中央大学文学部英米文学科卒。千葉県内でパート専門の人材派遣を展開するワークパワー株式会社の営業兼、代表取締役。一児(娘)の父。趣味は旧車バイク乗り・いじり、ドラム、食べ歩き。