派遣で働く人ってどんな人?

派遣社員ってどんな人?

「派遣社員ってどんな人?」

初めて人材派遣を利用する企業のご担当者様の中には、漠然とこのような疑問を抱く方もいらっしゃいますが、回答はいたってシンプル。

「お仕事をしたいごくごく普通の方」です。

これ以上でもなければこれ以下でもありません。派遣社員は「仕事を探しているいたって普通の方々」であり、何か特別な考えや価値観を持っている方々は多くはないと考えます。

今回のコラムのテーマは、「派遣という働き方を選ぶ人」について解説。

ニュースやマスコミ等で報道されている内容とは少し異なる実態を知って頂く事で、派遣社員への理解を深めて頂ければ幸甚です。

1.派遣を選んだ理由

繰り返しますが、派遣社員は普通に仕事を探している方と何ら変わぬ普通の方(というと語弊が生じそうそうですが、ここは敢えて)です。さらに言えば、現在はその働き方を積極的に選ぶ方よりも、「選んだ仕事がたまたま派遣だった」という方が多いと私は考えます。

人材派遣の需要がピーク&ブームでもあった2004年頃(製造業への派遣が解禁された後の数年間)こそ、派遣社員という働き方の特異性が注目され、「あえて派遣を選ぶ」という方が多く存在しておりました。

特異性とは例えば、

「スキル・経験を活かして」

「自らがやりたい仕事を選んで」

「会社のしがらみを気にすることなく働ける」

といったところでしょうか?少々虚実は入り混じっておりますが、当時は「派遣で働く事」のイメージはおおむね良く、なんなら「派遣で働くのはお洒落だ」くらいの好印象の下、「派遣で働きたい」という方の数は多かったと記憶しております。

しかし、リーマンショックの影響により発生した「派遣切り」で印象は逆転。雇用の不安定さばかりがクローズアップされ派遣はそのイメージを大きく落とします。結果、

「派遣=不安定」

「派遣=要らなくなったらスグに切られる」

という印象を抱かれることになったしまったことは、皆様もご存じの通りです。

翻って現在。働き手不足の中、労働市場において人材派遣は欠かすことのできない存在である一方で、「派遣切り」という言葉は常態化し、「他の働き方と比べると不安定」という印象だけは過去と変わらず根強く残っています。

このような事を勘案すると、現在派遣という働き方を選ぶ方は、先ほど「特異性」と述べた派遣のメリットを求めているのでしょうか?

もちろんそのようなメリットを求めて派遣で働く方もいらっしゃいますが、多くはないはず。プラスよりもマイナスイメージが先行する中、それでも派遣という働き方を選ぶ理由。それは

「選んだ仕事が結果的に派遣であった」

というのが現実的であると私は考えます。

派遣の働き方自体にメリットや興味を抱いたのではなく、純粋に仕事の内容や条件等を勘案し選んだ仕事が「たまたま派遣であった」だけという方が自然な解釈であると私は考えます。

派遣会社としては若干寂しいところもありますが、純粋に仕事や条件をしっかりと見極めているという点をみれば、これは全く悪いことであるとは思いません。

いずれにしても現代においては、「派遣社員として働きたい」という方よりも、「選んだ仕事の働き方が派遣であった」という「結果、派遣」という方が多く、派遣という働き方自体に確たる理由を求める方は減っているのではないかと考えます。

2.派遣社員は決まったことしかやらない?

派遣社員は「決まったことしかやらないのでは?」という質問を良く頂きますが、そんなことはありません。

例えば、データ入力のお仕事をしている最中に目の前の電話が鳴っているのに出ない、あるいは、お客様が来社したのに応対しない等々・・・

程度の差はあれど、このような「対応に融通が利かない」のはそもそも派遣云々というよりは、その人のパーソナリティ、もっと言えば当人の常識や職業倫理に依るものと言えます。これは社員でもパート/アルバイトでも等しく言えること。

「そんなことはパートがやればいい」

「私はパートだからそこまでやらない」

こんな一言、聞いたことありませんか?働き方など、関係ありませんよね?

一方で派遣社員は、事前に派遣会社と派遣先(派遣を使う企業様)との間で事前に取り決めたルールや業務内容に基づきお仕事をするため、ややもすると融通が利かない様にも思われるのもまた事実。

派遣社員の場合、入社後にやってもらう仕事の内容を細かく説明するという度合が派遣会社が絡んでいる分深く、細かいため、少々うるさく感じてしまいがちですが、勤務開始後の円滑な業務遂行を実現するためにも是非ともご協力頂きたいところです。

少々話がそれましたが、「派遣社員=決まったことしかやらない」というイメージはどうか捨てて頂きたいと思います。

3.派遣社員はその道のプロ?

人材派遣が法制化された1986年頃は、「派遣社員=腕一本で食っていくプロ」という認識の下、それこそその道のプロがゴロゴロしていたと聞きます。(料金も相当なものであったようですが・・・)

しかし今は未経験から始められる派遣のお仕事も氾濫しており、「派遣=プロ」という考え方は過去のものと言ってもよいかと思われます。

※もちろん、腕一本で生き抜くタフな派遣社員さんもいらっしゃいます

一方で使用者側(派遣先)の派遣に対するイメージは期待値も込みで「プロ」、「経験者」、「即戦力」というものが以前強いのが現状。これが「その方の経験を尊重する」という良い面にだけ出ればよいのですが、「派遣なら教えなくても良い」と変な方向に発展する悪いケースの方が目立っているのがなんとも残念。

安くはない費用を払って人材派遣を使う際に、先入観や思い込みで失敗をするわけには行きません。対策は以下二点。

1.求める経験値をしっかりと派遣会社に伝え人選してもらう

「経験」、「スキル」と一口に言っても、それは場所により人により異なります。

例えば、「パソコンができる」という一言にはどこまでの「できる」が含まれているのでしょうか?

企業側:ワード、エクセル、インターネット、メールが普通に使える
人材側:その企業専用のシステムに入力ができる

このような解釈のズレは当たり前に発生します。派遣社員に求める経験とスキル、そして期待する動きについてまでしっかりと派遣会社に伝えるようにしましょう。

2.初心者と思いゼロから教える

また、レストランの経験者であれば、一般的なサービスマナーは身に着けていても、新しい勤務先のルールややり方、物の位置等は知らなくて当然です。そのため派遣社員を迎え入れるお店側は、「そのお店では未経験者」としてゼロから教える必要があります。

一般的なスキルはあってもその会社特有のローカルなスキルはなくて当然。

もっとも基本は出来ていますからゼロから教えても吸収が早く、あっという間に仕事を覚えてしまいますので、大きな手間はかからないと考えます。

「派遣社員=プロ」であってほしいというが本音ではあると思いますが、ここは現実的に。

確かにプロはいます。しかし、そのプロが持つスキルや経験を自社に合うものなのかを先入観やイメージに頼らず、しっかりと派遣会社に相談しましょう。

そして、そのプロが自分の実力を活かしてノビノビお仕事できる様、「その場所では未経験者」と考えゼロから教えるスタンスを取ることが重要です。

4.派遣だからという考えは不要

以上、派遣を利用されたことがない企業様、お店様が抱きがちな派遣社員のイメージとその実態についてお話をさせて頂きました。

派遣で働くことにさしたる理由もなければ、だからこそ「派遣だから」と変に特定の業務に固執する方もおりません。普通なのです。

派遣を理由に発生する問題があるとするならば、それは先入観や実体のなイメージが作り出すものであり、決して派遣という働き方やそれに準ずる派遣社員が生み出すものではないという事をご理解頂きたいと存じます。

そして、今後人材派遣を利用する場合においては、どうぞ先入観なく、さらに、「派遣社員として」ではなく、「その人自身」として温かく迎え入れて頂きたいと思います。企業も、派遣社員も、「派遣だから」という言葉に捕らわれてプラスなことは「何一つない」と断言致します。

ABOUTこの記事をかいた人

1974年7月3日生まれ、中央大学文学部英米文学科卒。千葉県内でパート専門の人材派遣を展開するワークパワー株式会社の営業兼、代表取締役。一児(娘)の父。趣味は旧車バイク乗り・いじり、ドラム、食べ歩き。