企業が人材派遣を利用するメリットは様々あり、既に当コラムでも
といったメリットを紹介してきました。
今回は派遣を使うメリットの第三弾として、派遣を使う事で、
「会社や職場のマイナス点、問題点が分かる」
というメリットをご紹介させて頂きます。
今までのメリットと比べると、その目的の為に派遣を使うというよりは、派遣利用の結果、得られる「二次的なメリット」であり、少し打ち出しが弱く感じますが、派遣を使えばこそ得られる大きなメリットです。
派遣の利用を検討中の企業様はもちろん、現在派遣を利用している企業様にもぜひご一読頂ければと存じます。
1.派遣会社からフィードバックを得る
派遣会社への聞き方
人材派遣を利用することで、派遣会社からより、
・仕事は順調にこなせているか?
・職場で上手くやっているか?
・何かご迷惑をかけてはいないか?
といった確認を受けたことがあると思います。
このような派遣会社からの質問に応じることで、派遣会社に対してフィードバックを行う事は重要ですが、逆に派遣会社に対して、
「何か問題はないか?」
といった確認を行い、積極的にフィードバックを得ることを強くお勧めします。
フィードバックを得ると言っても難しいことはなく、概ね以下4つの確認で問題ありません。
≪派遣会社への質問の例≫
①仕事上、困ったことはないか?
②勤務シフト(時間や日数、曜日)に無理はないか?
③職場環境やルールで相談事はないか?
④人間関係で悩みはないか?
上記を個別に聞かなくても、
単純に「派遣スタッフさんの方から何か聞いてる?」程度の聞き方でもOKです。
何か問題がある場合には、派遣会社側からあれこれとお話が出てくるはずです。
※派遣会社が派遣スタッフから上記の悩み相談を受けている場合、自分達からはなかなか切り出し辛いテーマなので、派遣先の企業からこれを質問頂けると、正直大変助かるという派遣会社側の本音も付記しておきます。
ネガティブフィードバックこそ重要
ここで、「特に問題がない」という事であれば、それはそれでOK。
一方、何か不満や問題などの「マイナスのフィードバック」があった場合、それを「うるさい」と思わず、「職場改善のチャンス」と捉えましょう。
これこそが今回派遣のメリットとして紹介している、「会社や職場のマイナス点、問題点が分かる」そのもの。
自社では見えない、気づけない問題点を外部の業者から指摘してもらう事は、コンサルタントを雇うよりリアルで生々しいため、お耳に痛い部分もありますが、ここはむしろ喜ぶべきところ。
マイナスフィードバックを積極的に受け、自社の問題を明らかにして、対策を練る絶好の機会と捉えましょう。
2.フィードバックは敢えて取りに行く
人材派遣サービスの使用者側である派遣先企業側が自らフィードバックを取りに行く事はいささか面倒に感じますが、何もしなければ何も得られません。
内容的にも、敢えて不満をほじくり出す印象もあり、気が進まない気持ちも分かるのですが、マイナス評価を覚悟でフィードバックを敢えて取りに行くかどうかが、今回の記事のテーマである、
「会社や職場のマイナス点、問題点が分かる」
というメリットを得られるかどうかの分かれ道。
例えば、「職場の人間関係で悩んでいる」というお耳に痛い報告を派遣会社から受けたとします。
これを単なる派遣スタッフの愚痴ととらえず、職場の問題として捉えることができれば、職場環境の改善に向け、対策を打つことが出来ます。
また、「仕事の指示がなく放置されている」という報告を受けた場合、新人の教育や指導の体制に問題があると判断し、業務の指揮命令者に改善を促すこともできます。
「問題があれば報告があるだろう」という待ちの姿勢ではなく、「何か問題はないだろうか?」という積極的な姿勢で、派遣会社からフィードバックを取りに行く積極的な姿勢こそが、今回のテーマである「会社や職場のマイナス点、問題点が分かる」というメリットを享受するためには不可欠なのです。
3.派遣会社と派遣スタッフとのコミュニケーションについて
さて、フィードバックを依頼する相手である派遣会社はどこまでの事を知っているのか?
結論を申し上げれば、「現場の人間関係といったかなり深いところまで知っている」わけですが、その理由を説明する為に、ここでは派遣会社と派遣スタッフとのコミュニケーションについてお話をいたします。
どんな話をしているのか?
派遣スタッフの勤務開始後、派遣会社はスタッフの安定勤務を目的に定期的な連絡を行います。
話しの内容は、
「問題なくお仕事が出来ているか?」
「仕事や職場で困っていることはないか?」
と仕事の事ばかりではなく、ニュースの事、子育ての事、果てはご主人の愚痴迄と実に様々。
一見無駄話に見えるようなコミュニケーションも、スタッフさんの本音を聞くためにはとっても大切な仕事なのです。
仕事や職場に何の問題もない場合には、雑談に終始するか1~2分程度でお話は終わってしまうのですが、そうでない場合・・・・
つまり、仕事や職場に対して何らかの問題やお悩みを抱えている場合には、このお話が1時間を超えることもザラ。しかし私達(派遣会社)を相手に、どこにも出せない愚痴や不満をぶちまけたスタッフさんは、問題の解決状況はさておきリフレッシュできるようで、スタッフさんのストレスの「はけ口」になることも、派遣会社の大切な仕事なのです。
ここで大切なことは、
派遣会社は時間をかけて、派遣スタッフさんとしっかり濃密なコミュニケーションを取っているという事。
そして築いた信頼関係の元、公私に渡るり様々な話を「本音モード」で聞けている事です。
派遣会社は知っている
本音モードで職場や仕事の不満や愚痴を聞いている派遣会社は、直接現場を見ているわけではありませんが、派遣スタッフとの濃密なコミュニケーションを通じて、職場をしっかり把握しています。
どこまで突っ込んだ内容を認識しているかは派遣会社によるところもありますが、「細かいことは気にせずに、ダメならスグに別のスタッフを」という類の派遣会社でない限りは、職場の人間関係を中心にしっかりと情報を把握しているはずです。
・仕事の指示が曖昧
・放置されている
・職場の雰囲気が悪い
・教えてもらっていないのに「できない」と叱られる
・いつも誰かが誰かの悪口を言っている
人材を派遣する前の段階で、派遣先から聞いたり自ら感じたりしていた「表向きの職場の状況」に加え派遣スタッフから聞く、「現実の職場の情報」を合わせることで、派遣会社は現場に居ずして職場の表も裏も含めた実態を掴んでいるというわけです。
まるでスパイの様な印象を受けてしまいそうですが、派遣会社としては敢えてこの手の情報を取りに行っているわけではなく、あくまでスタッフさんのお悩み相談、愚痴のはけ口としての役割を果たしているうちに自然に入ってくるのです。
「入ってきてしまう」と言っても良いでしょう。
少々長くなりましたが、派遣会社は派遣スタッフとの日々のコミュニケーションにおいて、様々な情報を入手しており、フィードバックの相手としては必要十分であるという事がご理解頂けたかと存じます。
4.フィードバックの効果
今回のコラムでは派遣利用のメリットして、派遣会社からのフィードバックで「会社や職場のマイナス点、問題点が分かる」を掴むというお話をしてまいりました。
最後は、このフィードバックにより職場を改善した例をいくつかご紹介いたします。
新人いびりの実態を掴み、改善
「うちの職場はみんな仲が良くて、雰囲気もいいですよ~」という上長さん。一方で新人の定着率が低く、入社後1週間で辞めてしまうという問題を抱えておられます。
原因は、新人に対するいじめやいびり。派遣スタッフが退職時にそれを派遣会社に報告、そのまま派遣先にフィードバック。状況を把握した派遣先はこの点を改善して、新人の定着率があがりました。
仕事を教える人がいない
入社後放置が続き、その報告を受けた派遣会社が派遣先に相談したところ、誰も仕事の指示や指導をしていないという事が判明しました。派遣スタッフが来るという事を皆が他人事と考えていた様で、大至急管理・指導体制を整えることで、事なきを得ました。
その後、追加で派遣スタッフが入社しても放置されるような事態はなくなりました。
上記の他にも、
・パワハラ寸前のキツイ管理体制を改善
・残業を強いるような体質の改善
・育児都合の休みに冷たい態度を取らない様になった
・バランスを考えた業務の割り振り
等々、現場の派遣スタッフの意見を派遣会社がくみ上げ、それを派遣先にフィードバックして改善してきた問題やお困りごとは枚挙に暇がありません。
内定調査的な目的で人材派遣を利用するという企業様はおらず、これらのメリットはあくまで二次的なものと言えますが、かなり強力なメリットであることはお分かりいただけたかと存じます。
現在人材派遣を利用されている企業様は、今すぐこのメリットを享受できます。是非とも派遣会社にフィードバックを依頼することを強くおススメし本稿の結びとさせていただきます。