正社員が退職の際に提出するものが「辞表」なら、パートは「退職届」となります。
「口で辞めると言えば済む話では?」と言われてしまいそうですが、
道具としてあると便利な退職届について解説します。
結論は、「面倒ですが作りましょう!」
※退職に関するコラムはこちらから
正しいパートの辞め方
1.メリット:退職の意を伝える事ができる
一大決心の末、勇気を出して職場に退職の意思を伝えたのもむなしく、「ちょっと待って」と保留にされたり、「今本部に確認しているから」とかわされ、ご自身の退職の気持ちとまっすぐに向き合ってもらえないことってありませんか?
人不足の世の中です。勤務期間の長短に関わらず、社内の貴重な戦力を失うことに企業は大変敏感になっています。
とはいえ、しっかりと話し合いの場を持ち慰留を相談されるならともかく、この様な逃げのスタンスでは「もうちょっとだけなら・・・」といった気持も萎えてしまいますよね。
また退職を決意される程のご事情があるにも関わらず、話が進展しないのではただでさえ気を使う期間なのに心労が増えるばかりです。
そんな時にはご面倒でもしっかりと「退職届」を作成し、職場に提出しましょう。退職の意思が口頭だけでは伝わらなければ待っているだけではいけません。
しっかりと形にするのです。
「もってまわったやり方」は面倒でも相手に事の重大さを伝えるインパクトを与えるには効果てきめん。
また、直属の上司が従業員の退職に関する裁量権がなく、さらにその方の上司に相談するという場合にも、話が通りやすくなります。
言い辛い部下の退職。「○○さんから辞めたいという話が出ていまして・・・」と伝えるよりも、「○○さんからこんなものを預かりまして・・・」と退職届を裁量権のある上司に届けさせる方法のほうが、方法として戦略的で具体的と言えるのではないかと考えます。
パートの退職届を書く方は少数派だと思います。しかし、だからこその説得力と思いがあります。退職の決意をしっかりと相手に伝えるためにも退職届はしっかりと作成し渡すのが理想であると私は考えます。
2.退職届は企業側にもメリットあり
退職届の提出でメリットを享受できるのは企業も同様です。本人から提出される退職届は、「自己都合退職」の何よりの証明書です。
ブラック企業が幅を利かせ、労働衛生環境や雇用に関する様々な問題が噴出する昨今、企業が最もデリケートになっているのは、「解雇」や「退職」に関する内容。
会社側が辞めさせたのか?自分の意思で辞めたのか?パートの退職に関するやり取りは主に口頭で行われる為、この辺りがグレーになりがち。
退職する方との間に妙な遺恨を残さないようにする事が、一人でも人を雇っている会社として重要なポイントになっています。
そこで、「退職届」です。口述しますが、退職届に書く事は「一身上の都合により退職させて頂きます」の一言。しかしこの一言が意味するところは大きく、訳すならば、
「会社には何の不備もなく、あくまで自分自身の都合と意識で退職をします」
つまり、今回の退職に会社の責任はないという事を書面で証明することに他なりません。
グレーゾーンをあえてホワイトにしてあげることで会社側も安心。退職届はおかしな言い方をしますが、「会社の無罪」を証明するために何よりも重要な証拠となるわけです。
お世話になった会社への恩返しの意味を込めて、退職届の作成と提出をお勧めします。
反対に、会社が憎い、退職の理由が相手(会社)のせいであっとしても、ここはひとつ大人になりましょう。
大きな気持ちで退職届を書く事で、会社側の唯一の心配もなくなり、退職が円滑に進めることができます。だいだい、そんな相手にいつまでもかまっていてはいけません。さっさと片付けて前に進みましょう!
3.退職届の書き方
退職届の書き方はこだわりだせばキリがありません。何が正しくて間違いというのもないのですが、ここでは「ワークパワー流」の退職届のフォーマットをご紹介します。
(1)封筒:(茶封筒でも白封筒でもどちらでも可)
・表面:退職届(大きめに書く)
・裏面:中心線より左側に自分のお名前を書く
※ボールペンや細めの油性マジックを使うと良いと思います。
とにかく「退職届」にの三文字が渡した瞬間に目に入るように
(2)内容
・宛名:株式会社○○ ××部 田中様
→部署が分からなければ、店長、マネージャー等の肩書きでもOK。
それも分からない場合には、渡す方のお名前だけで。
(3)本文
この度一身上の都合により、○○年××月△△日をもって退職させて頂きたいと
存じます。ご迷惑をおかけ致しますが、宜しくご対応の程お願い致します。
※年月日は、退職届を渡す日の一ヶ月後を記入するのが常識。
(4)自著
上記本文の後に、自分のお名前、住所を記入します。
以上です。
とっても簡単でしょ?しかし肝心な箇所はしっかり抑えていますので内容としては全く問題ありません。退職届のフォーマットはインターネットで調べればゴロゴロ出てきますので、宜しければチェックしてみてください。
縦書きでも、横書きでも。またどんな枕言葉を並べても、言いたい事はわずか。
「自己都合で」、「○○年××月△△日」に辞めさせてほしい。これだけです。
下手に気を使って持って回った言い回しをするよりは、要件をストレートに伝える文面で良いかと思います。凝って作ろうとすると面倒で、作成に手間がかかった挙句に断念することになりますので、ご注意ください。
4.どう渡す?いつ渡す?
さて、いざ作成した退職届ですが、ここからが重要。相手にどうやって、いつ渡すのがベストか?
先に申し上げておきますが、「何も言わずに会社にいきなり退職届を送りつける」という方法だけは辞めて下さい。どんな事情と理由があろうが、誰がどう言おうが、「常識はずれ」で「マナー違反」です。おわかり頂けますよね?
退職届は、「直接手渡し」が原則です。タイミングは仕事終わり、あるいは自分が先に上がる(帰宅する)場合には、仕事中でも忙しくないタイミングを狙って渡しましょう。
可能であれば、周囲に誰もいないタイミングがベスト。他のパートさんに見られてしまうと、うわさが広まり、連鎖を引き起こす可能性もあるためこの辺りに気を使うのが重要です。
≪イメージ≫
1.「ちょっとお話があるんですが・・・」と相手に切り出し、退職届をタイトルが見えるように渡す。
2.「お世話になり、大変恐縮なのですが、都合で辞めさせて頂きたいと思っています」
と切り出し、
3.「1ヶ月を目処として考えておりますので、宜しくお願いします」と付け加えましょう。
これでおしまい。後は相手の返事、反応を待つことにしましょう。
慰留されたとしても、自分の意思が固い場合には下手に話に乗らず、「ごめんなさい」、「すみません」のみでOK。但し、相手の反応を見て心が痛む、迷いが生じた時には、先方のお話をしっかり聞いてみる事もお勧めします。
その後は相手からの返答を待つ期間となりますが、もし1週間経っても音沙汰がない場合には、「先日の件、どうなりましたか?」と確認してみましょう。
相手にも事情がありますので、急かしてはいけませんが、うやむやにされているといけませんので、催促は1週間単位がベストかと考えます。
以上、パートの退職届についてのお話でした。
人が会社を辞めるという事は、雇用形態に関わらず重要な事です。様々な事情も理由もあるでしょう。しかし大切な事は、しっかりと筋を通して退職する事。
パートで退職届を提出する方は少ないと思いますが、
筋を通す、礼儀を尽くす分だけの効果と見返りは確実にあると思います。
立つ鳥跡を濁さず。気持ち新たに前進していくためにも、是非とも退職届の作成と提出をご検討頂きたいと思います。
2.退職届は企業側にもメリットあり
3.退職届の書き方
4.どう渡す?いつ渡す?