うちのパートさんはやる気がなくて困る。仕事を何だと思っているのか・・・
そんな事をぼやく前に、自社で見直すべきことだってあるはず。人不足の世の中です。
視点を「本人のやる気」から向き合い方、関わり方に変える
こんなスタンスが重要です。
1.やるき偏重は社員でも厳禁
「採用の第一条件?そりゃぁ、君、やっぱりやる気だよ、やる気」。
正社員の紹介を行う、「人材紹介」の営業で社長さんや採用担当者さんとお話させて頂くとこの様なセリフをたまーに聞くのですが、残念ながら、このセリフが出てくる会社さんは、離職率が高く、また採用に苦労しているのが通例です。
本当に採用の「第一条件」としてだけならまだしも、結局、何か問題があった時に、この「やる気」という言葉に逃げてしまうのですね。
仕事で失敗すれば「やる気」、アドバスを求めても「やる気」落ち込んでいる時も「やる気」、人間関係も「やる気」、とにかく「やる気」、「やる気」。
具体的な問題の解決策を提示するでもなく、暖かい言葉をかけるでもなく全てを「やる気」に帰結してしまえば、社員に「何にもしてくれずに、全て自分の非とされた」と愛想を尽かされて当然です。
そう、「やる気」という言葉の魔力にやられてしまうのは何もパートに限った事ではなく、正社員採用の場においても同じなのです。
もちろん「やる気」はとっても重要。ならば、そのやる気とは何なのか?それがあれば何ができて、なければ何ができないのか?
やる気がないとの根拠は一体何ですか?それが明確に出来ない限り、この言葉を使うのは避ける方が懸命でしょう。
問題の特定ができない会社(あるいは方)が「やる気」という言葉に逃げているようにしか見えません。
社員は転職し、パートは「またやる気だよ・・」とぼやいて当然。
仕事する以上やる気なんてあって当然。ない人なんていません。ただ、それが発揮できない何は存在します。
社員でもパートでも「やる気がある」を前提に、では何故それが発揮できないのか?にフォーカスしていく事がこの「やる気問題」を解決する何よりの近道であると考えます。
2.やる気があってもできない理由
「やる気がない」と判断される方の多くが、仕事がうまくいっていない方、また積極的に仕事に関わらない方の二つに大別されると考えます。
まず、仕事がうまくいっていない、できない方の場合の対処方から。
最初に注意事項。このケースの場合、しっかりとした根拠がない限りは、本人の「気持ち」や「やる気」を責めるような事は避けましょう。
一生懸命やっても出来ない事もあります。
やり方を知らないだけかもしれません。
方法を教えていないだけの事かもしれません。
また結果的に、適正不一致、つまり、その仕事に向いていなかったとしても本人は懸命にその仕事をこなそうとしているのならば、仕事の結果はともかく、その気持ちや過程は尊重されるべきです。
「仕事は結果だ」という声が聞こえてきそうですが、成果を出したものだけを評価する「成果主義」が日本でもてはやされて何年で廃れていきましたか?結果だけを求めるなんて事は少なくとも日本では無理だと私は思うのですが・・・
仕事がうまくいっていない方に対しては、いったいどこがどうで、どううまくいかないのか?という原因を特定し、それをリカバーする方法を共に考え、提示し、そしてチェックして行けばいいだけの事。
もちろん、適正不一致というケースの場合にも、ここまでしておけば、「その仕事に合わない」という事がハッキリして、それを配置換えで解決する等、結果はともかく問題解決の糸口にはなるはず。
大変面倒で骨の折れる仕事ではありますが、上記の事を全てうやむやにして「やる気」の一言に逃げるよりはよっぽど生産的、かつ、人間的であるとは思いませんか?
また時間と熱量を割き向き合った人材は、正社員・パートに限らず、会社へのロイヤリティを強く持ってくれるという事が学会でも発表されています。誠実に向き合った当然の結果ですよね。
3.「やらない」ではなく「やれない」も
「やる気がない」と判断される方の二つ目の特徴として、「積極的に仕事に関わらない」、「一生懸命さが見えない」というケースがあります。この場合も先ほどと同様、はっきりと「やらない理由」を特定する必要があります。
私の知っている職場の話。
「やる気がない」との烙印を押されたパートさん(仮にAさん)が積極的に仕事に関わらなかったその理由は、「仕事を取ったとベテランさんに睨まれる」というものでした。
これって、Aさんのやる気の問題でしょうか?
別のパートさん(仮にBさん)の場合には、
「仕事を教えてもらえず、何かしなきゃと動くんですが、邪魔だと怒鳴られて・・・」
こんなケースも良く伺います。
これらは「やらない」ではなく「やれない」という方が適切でしょう。実際、現場を見ているマネージャーさんですら、この様な問題に気付かず、「あいつは本当に動きが悪い、気が効かない」と判断してしまうケースが多いのです。
御社は大丈夫ですか?動きが悪い方、パフォーマンスが悪い方がいたら、一声かけてみましょう。
「どうした?なんかあった?」
そんな一言だけでもOKです。
一度だけの声かけで真意が見えない事もありますので、おかしいと思ったら、3日に1度位のスパンで声をかけるがお勧め。
この様な声かけは、「実は、仕事辞めたいんです・・・」といった退職宣言を促しているようで、人不足に悩む現場の担当さんはやりたがらないものですが、放置すればどの道辞めてしまう事を考えれば早期の火消しが重要である点はご理解頂けると考えます。
4.明らかにやる気のない人に対して
上記の方法で問題を特定しようとしてもうまくいかない場合に初めて、ご本人の「やる気」を疑って見るべきだと思います。
しかし、
「お前はやる気がないから・・・!」
としかり飛ばしてはいけません。
ここでもやっぱり相手の話をしっかり聞く事が重要。「何故やる気がでないのか?」を該当者としっかり話し合う事です。
相手の話を聞き、そしてこちらも動きが悪くて困っている事を正直に話し、そしてそれによりどのような問題が発生しているかを詳しくお話するのです。
そして、その理由が会社が解決できるような事であれば全力で解決する事を約束します。
また逆に、会社に解決できないような個人的な問題であるならば、機会を区切り自己解決を促し、それでも改善に至らない場合には、退職してもらう旨を伝えましょう。
何はなくともまずは本人としっかり向き合う事が重要です。
しかし、仕事は遊びでもボランティアでもありません。積極的に仕事が出来ない理由が会社の責によるものでないのであれば、その方には速やかに席を空けて頂くべきです。
それを行う事が、結果的に本人の為になることもありますし、また元気で頑張る他の従業員さんに
報いることにもなるからです。
5.採るから育てるへのシフトチェンジを
仕事をする上で何より大切なのは気持ちです。矛盾しているようですが、やはり「やる気」は大切。しかしだからこそ、その方の一側面を見ただけでやる気の有無を判断するのは宜しくないかと思います。
企業側の本音は「やる気」がある人を採用したい。
しかしその「やる気」に何もかも「ないまぜ」にしすぎてやいませんか?
人不足の世の中です。社員、パート等の働き方に依らず、これからは人が会社を選ぶ時代。本人が必ず持っている「やる気」を削ぐのも育てるのも雇う企業次第です。
人のやる気のなさを嘆くよりも、その原因を追究し解決するのが先。やる気を全開に育ている会社は、人不足という問題に直面すること等ないと私は思います。
「うちのパートはやる気がないなぁ」
そんな事をおっしゃる方が実は、社員教育の「やる気」がなかったりして・・・
意地悪でスミマセン。しかし、本音です。
2.やる気があってもできない理由
3.「やらない」ではなく「やれない」も
4.明らかにやる気のない人に対して
5.採るから育てるへのシフトチェンジを