「聞く」スタンス
効果のある営業方法を解説するいわゆる「営業本」や自己啓発関連の本のテーマで
多くみられるのが、「コミュニケーション」について。
人間同士のコミュニケーションの場において、何をどうすれば成果を出せるのか?
(成果とは営業の場合は「売れた」という結果であり、
仕事でなければ、お友達ができた、彼女・彼氏ができたという結果だったりします)
アプローチは本により実に様々。
何点かご紹介しますと、例えば・・・
・話題のチョイスの仕方
・鋭い質問(キラークエスチョン)の仕方
・話相手のしぐさのチェック
等々。
「星座から見る対話相手の攻略法」なんてのもありました。
相手の星座をどうやって調べるんだろ?
もとい。
このように、コミュニケーションに関する本の中でもっとも重要と思われる、
しかしなかなか実践されていないテクニックがあります。
それは、相手の話を夢中で聞く事。
質問をしろということではなく、相手の話に夢中になれということです。
それはもう夢中で聞くんです。
自分が話す事なんてなしに、
話の前後を忘れてしまうくらいに、
もう相手の大ファンだと言わんばかりの勢いで、
相手の目をみて、しっかりと話を聞くんです。
「へ?それだけ?」と言われてしまいそうです。
「な~んだ、聞くだけでいいなら簡単じゃん」ともいわれてしまいそうですが、
これが結構難しい。
何故って、人間はとにかくしゃべりたがり。(私ももちろんそうです)
自分の話をしたくてしたくて仕方がないもの。
例えば営業に行った時。
下手な沈黙は隙を与えると考えてしまい、一気呵成にまくしたてる。
「当社の商品は○○で、××なんです。△△な御社には最適な商品かと
思われます。」なんて具合に。
相手の話など聞きません。
だって、隙を見せたら負けそうになってしまいますもの。
だって、質問に対する切り替えしに自信がありませんもの。
とにかく自分が話の主導権を握るのに夢中。
不思議なもので、普段は寡黙で、お話があまり得意ではない方ほど、
緊張を強いられる場面ではこのように「しゃべりたがり屋さん」になって
しまう傾向があるようです。
商談の場において緊張しているのは「売れるだろか?」と心配している自分
だけではありません。
「変なもの掴まされないだろうか」と相手だって緊張し、不安になっているんです。
そして、やっぱり話をしたいんです。
「当社は○○で困っていて、××な状況なんです。それで△△を探しているんですが・・・」
という具合に。
もちろん、相手の質問を先回りして回答を用意しておく事は重要です。
でも、相手だって同じ人間。「しゃべりたい」という前提をしっかりと理解していたならば、
答えだけ用意して、相手にお話をさせてあげた方が親切だと思いませんか?
A:○○でお困りとのお話ですが、どうされました?
B:実は○○で困っているのにはわけがありまして、□□という問題が・・・
A:それなら当社の商品がベストです、なぜなら~
こんなやり取りがべストではないかな?と思います。
さて、このように自分で話さずに相手に話をさせる(というか話を聞く)上でとっても
大切な事があります。
それは、話を聞く姿勢です。
実際、長ーい話になる場合にはその労力も相当なもの。
いくら「話したい」といったって、話をするのはそれはそれで大変なものです。
相手に話をさせるように促せたのであれば、または促すために、
「私はあなたの話を夢中で聞いているんですよ」という事を相手に伝える必要が
あります。
うまいタイミングで相槌を打ったり、表情をオーバーにしたり。
前述の本の話ではありませんが、表情に関する本も存在しますが、
そんな小手先のテクニックは覚えきれませんし、スグに見透かされますので、
割愛します。
とにかく一生懸命聞く事。
これだけを大切にしてください。
繰り返しますが、一生懸命に聞くとは・・・・
それはもう夢中で聞くんです。
自分が話す事なんてなしに、
話の前後を忘れてしまうくらいに、
もう相手の大ファンだと言わんばかりの勢いで、
話に聞き入って下さい。
相手のファンなのですから、当然目は相手をしっかりと見据えているはず。
夢中で話を聞くわけですから、姿勢だって前傾姿勢になっているはず。
相槌だって、「タイミング」など図らなくても自然に出てきます。
そこで「うわっ」とか、「ヤバい!」とか、
汚い言葉で相槌打っても私はいいと思っています。
確かにビジネス上で好ましい言葉づかいではありませんが、
その位夢中なんだという事が相手に伝われば、マナー上の不手際など
さっぱりチャラになります。
実はこれは経験談です。
商談相手の部長さんとのお話中、話を聞く事に夢中になっていた
私は思わず、「きたねぇ!」っといってしまった事があります。
話は雑談。内容から、私の発言が相手の名誉を傷つけるような事は
あり得ないのですが、問題は言葉づかい。仕事で許される言葉づかいでは
ありません。
「きたねぇ!」と言った、0.001秒後に「しまったー!!!」と激しく後悔
したものですが、部長さんは私のリアクションに大笑い。
「ええっ?そんな汚いかなぁ」とニッコニコ。
今思えばこの話。部長さんの得意のネタだったんでしょね。
自慢のネタに対するリアクションがよかったので、私の罪はチャラ。
決してほめられる内容でもありませんし、皆様がこのような目に合わないことを
お祈りいたしますが、とにかく相手の話に夢中になるということにこのくらい
我を忘れても大丈夫ですということです。
相手の話を夢中で聞く。
このスタンスを取るために最も難しい事は自分のテンションです。
「話を聞くモチベーション」というと難しいでしょうか?
「なんだか気が乗らない」ということだって人間あるものです。
そんなときに、知らない人の話に自分を併せていくのは結構大変なんです。
まして、すでに面識のある、自分にとって「苦手」、あるいは「嫌い」という
人に対しては特に。
人間自分が嫌いな相手にはなるべく関わりたくないもの。
「関わりたくない」のですから、しゃべりたくもない。っていうか見たくもない。
そんな状態ですから、「話を聞く」なんてとんでもない!
そんな風に思っている相手がいる方こそ、絶好のチャンスと捉え、
是非是非、しっかりと話を聞いてみましょう。
相手の話に夢中になってみましょう。
そのスタンスが、相手の心のドアを開きます。
その人がどんな事を話しているのかを聞けば、どんな考えを持っているのかがわかります。
話の中で聞ける意外な事実から、もしかしたらその人のことを好きになれるかもしれません。
かなり確率は低いと思いますが・・・
しかし、その人の事をやっぱり嫌いであったとしても
「なぜ嫌いなのか?」がハッキリすれば、今後の付き合い方もしっかりと
見えてくるはずです。
嫌いな人と変な距離感で付き合って苦しんでいる人をたくさん見てきました。
その場合の多くは、(やはり)一度もお互い、しっかりと話し合ったことがないケースが
多いんですよね。
結果、
アイツさえいなければとか思ってしまう。
挙句の果てに逃げてしまう。
そんなの・・・もったいないじゃないですか。
話が少々脱線しましたが、
とにかく話をしっかりと聞く事が、上手なコミュニケーションのコツ。
そしてしっかりと聞くコツは・・・
「とにかく相手に夢中になること」
夢中になるとは真剣になることです。
自分が真剣に相手の話を聞くから、その後の自分の発言も真剣に聞いてもらえるのです。
クレームを受けた時や問題が発生した時。
相手の話を夢中で聞く事はすなわち、
そこから逃げずに、問題に真摯に取り組む
という事に他ならないわけです。
たくさんしゃべってもいいです。
しかし、まずは相手の話を聞いてから。
夢中にさせるために、まずは夢中になりましょう。
絶対に、会話が楽しくなります!!